THEME COVID-19と心血管・脳血管疾患 Special Articles
COVID-19と急性冠症候群(ACS)
Cardio-Coagulation Vol.8 No.4, 15-19, 2021
循環器急性期疾患は胸部症状や呼吸器症状を伴うことが多く,また肺うっ血がある場合には画像上もCOVID-19との鑑別が必要となることが多い。それに加え,本稿で中心として取り上げる急性冠症候群(ACS),特にST上昇型心筋梗塞(STEMI)はdoor-to-balloon timeを短縮することで予後改善効果が認められているため,COVID-19の鑑別をいかに早く行って経皮的冠動脈形成術(PCI)を早期に行うことができるかが大変重要な問題である。また,病院自体がACS症例に対して通常どおりPCIを行うことができる体制を整えることも大きな課題である。
当初,COVID-19は血管病を増加させる可能性が指摘され,ACSの発症にも影響を及ぼすことも想定されたが,この点についてはいまだ不明な点も多い。しかし,現実には欧米ではACSが減少したという報告とともにCOVID-19への罹患がその後のACS発症に関連するという報告もある。本稿では,COVID-19とACSの関連についてわが国の報告も含めて振り返りながら考察してみたい。
「KEY WORDS」COVID-19,pandemic,急性冠症候群(ACS),ST上昇型心筋梗塞(STEMI),door-to-balloon time
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