抗血栓薬を服用している患者が増えているなか,内視鏡手技を行う際に抗血栓薬をどのように扱うべきか。日本消化器内視鏡学会は2012年に『抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン』を発表し,2017年に『直接経口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補2017』を追加した。これらガイドラインでは出血危険度による内視鏡手技の分類と抗血栓薬休薬による血栓症の高発症群を定義し,それに従って出血リスクと血栓症リスクに応じた推奨事項を細かく記載している。最大の特徴は出血リスクだけでなく血栓症リスクにも配慮したガイドラインになったことであり,血栓症リスクの高い症例では抗血栓薬を休薬しない状態で侵襲的な内視鏡治療を行うことも許容されている。かつては出血予防を重視して抗血栓薬は休薬すべきものとしていたが,現在のガイドラインにより出血を恐れすぎず,血栓症リスクとのバランスを考える姿勢が内視鏡医に求められている。
THEME 抗凝固療法関連ガイドライン―最新版の要旨と改訂内容― Special Articles
抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン
掲載誌
Cardio-Coagulation
Vol.8 No.3 34-38,
2021
著者名
岡本 真
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
循環器
/
血液
診療科目
循環器内科
媒体
Cardio-Coagulation
Key Words
消化器内視鏡診療ガイドライン,抗血栓薬,出血リスク,血栓症リスク,偶発症
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。