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THEME 脳梗塞の二次予防 Special Articles

大動脈病変からみた脳梗塞二次予防

上野祐司

Cardio-Coagulation Vol.7 No.4, 27-33, 2020

わが国において,食生活の欧米化や運動不足,さらには人口の高齢化によりアテローム性動脈硬化疾患は増加している。弓部大動脈の粥状動脈硬化病変により脳塞栓症をきたす大動脈原性脳塞栓症は脳梗塞において稀ではなく,独自の臨床的特徴を有している。これまで弓部大動脈粥腫病変に対して,脳梗塞再発予防における有効性と安全性を比較した臨床試験が行われてきた。しかしながら,いずれの試験においても抗血小板療法と抗凝固療法のどちらが望ましいかという確固たるエビデンスを実証する結果には至らなかった。近年,国内外の大規模臨床試験において,スタチンが脳梗塞二次予防に有用で,具体的な脂質管理の目標値を設定することの重要性が注目されている。筆者らは,大動脈原性脳塞栓症の二次予防においてLDL-C<70mg/dLを目標とすることで6ヵ月後の弓部大動脈粥腫が安定することを報告した。本稿では,脳梗塞における弓部大動脈粥腫の評価と,大動脈原性脳塞栓症の臨床的特徴と治療エビデンスについて概説する。
「KEY WORDS」大動脈原性脳塞栓症,弓部大動脈粥腫,経食道心エコー,抗血栓療法,スタチン

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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