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THEME 心房細動患者におけるポリファーマシーを考える Special Articles

ポリファーマシーと高齢心房細動患者の抗凝固療法

廣田尚美鈴木信也

Cardio-Coagulation Vol.7 No.3, 27-34, 2020

高齢者では,薬物動態の加齢性変化による分布容積の低下や代謝・排泄の低下による薬物の血中濃度上昇が起こりやすい。さらに併存疾患が多いためポリファーマシーとなる傾向にあり,薬物動態の予測が困難である。この問題は抗凝固療法にも当てはまる。ワルファリンは多数の薬物相互作用を認め,高齢者独特の薬物動態の不安定さやポリファーマシーの影響を受けやすい可能性がある。直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)は血中濃度の変動が小さく,用量調整不要とされる一方で,薬物代謝に影響する高齢,低体重,腎機能低下などが重複しやすい高齢患者において,さらにP糖蛋白阻害薬,CYP代謝競合薬や腎代謝薬が多数併用されうるポリファーマシーは出血リスクを増加させる危険因子であり,いかに対応するかはDOACのunmet needsと考えられる。最後に,現時点で考えられる高齢者へのDOACの投与について,J-ELD AF研究の結果を踏まえて言及する。
「KEY WORDS」高齢者,心房細動,ポリファーマシー,抗凝固療法

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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