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THEME 超高齢者の心房細動診療 Special Articles

超高齢心房細動に対するカテーテルアブレーション:どこまで攻めるべきか

井上耕一

Cardio-Coagulation Vol.7 No.2, 35-40, 2020

心房細動アブレーションは肺静脈隔離術を基本術式としており,心房細動の治癒や負荷の軽減を目標として行う治療である。アブレーションの洞調律維持効果と安全性は,高齢者でも若年者と遜色がないことは示されている。アブレーションの予後改善効果は一部の症例でしか証明されておらず,特に高齢者は平均余命が短く併存疾患が予後に与える影響も大きいため,予後改善効果は期待しがたい。QOL改善効果は確立しているものの,高齢者では若年者と比較すると活動性も高くない。これらの理由により,高齢者ではこの治療の適応は相対的に低いとされている。一方で,年齢のみを根拠に治療の適応を決めるのは年齢差別であり,現在のわが国の考え方では不適当である。高齢者でもADLやQOLが著明に改善する症例は珍しくないため,治療の適応は生年月日からの絶対値である“数値上の年齢”ではなく,ADLや認知能力,合併疾患などから推定される余命期間などにより評価される“心身の事実上の年齢”で判断されたい。
「KEY WORDS」心房細動アブレーション,肺静脈隔離術,年齢差別,QOL,ADL

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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