THEME 超高齢者の心房細動診療 Special Articles
超高齢心房細動における抗凝固療法
―減量,禁忌,イベント発生後から看取りまで―
Cardio-Coagulation Vol.7 No.2, 27-34, 2020
90歳以上の超高齢心房細動における抗凝固療法はこれまでの大規模臨床試験では十分に検討されておらず,有効性・安全性について明らかとなっていない。そのため,多くの主治医はさまざまな個々の判断基準で抗凝固療法の強弱を調整し,時にoff-label投与(減量または未承認低用量),もしくは抗凝固薬を投与しない選択をしている。近年,超高齢であっても特にDOACによる抗凝固療法は有用性があることを示唆するデータが海外から報告されているにもかかわらず,このような対象で積極的な抗凝固療法が十分に行われていない。この現状は,“anticoagulant paradox”といわざるをえない。より質の高い抗凝固療法を超高齢心房細動で実践するには,このparadoxを解決することが急務である。日本で現在進行中の大規模臨床試験であるANAFIERegistryは2,000例以上の超高齢心房細動患者がエントリーされており,その結果により今後超高齢心房細動における抗凝固療法の有効性・安全性が明らかになることが期待される。
「KEY WORDS」超高齢心房細動,抗凝固療法,Off-label,DOAC,Anticoagulant paradox
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。