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THEME 出血性合併症の既往を有する心房細動例へのアプローチ Special Articles

脳出血既往例や脳微小出血保有者に対する抗凝固療法

飯田鉱太郎藥師寺祐介原英夫

Cardio-Coagulation Vol.6 No.3, 17-25, 2019

脳梗塞の一次予防,二次予防としての抗凝固療法は確立された治療であるが,エビデンスとなる大規模臨床試験の結果は頭蓋内出血イベントリスクと塞栓症予防とのリスク・ベネフィットを考慮したうえでのものである。また,このエビデンスが脳出血既往例や脳微小出血(CMBs)保有者といういわゆる脳出血ハイリスク例にもあてはまるかは検証されていない。しかし,これまでに蓄積された間接的なエビデンスを断片的に捉えると,脳出血既往やCMBs保有は抗凝固療法下での頭蓋内出血のリスク因子になる。特に,脳アミロイド血管症関連脳出血患者や5個以上のCMBs保有者,脳葉・脳深部の両領域の混合型CMBs保有者は慎重な対応を要するが,禁忌ではない。2019年になって,同様の集団に対する抗血小板薬のマネジメントを是とする無作為化試験結果が報告された。抗凝固薬についても同様に,直接的な科学的根拠を示すための無作為化試験が待たれる。
「KEY WORDS」脳微小出血,脳出血,抗凝固療法,ワルファリン,直接作用型経口抗凝固薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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