THEME ワルファリンとDOAC再考 Special Articles
心房細動における抗凝固療法:DOAC第Ⅲ相試験とリアルワールドデータは一貫しているか
Cardio-Coagulation Vol.5 No.3, 15-22, 2018
心房細動における心原性脳塞栓症予防目的で投与される直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の第Ⅲ相試験では,4つのDOACが一貫して従来薬のワルファリンに対して同等もしくはそれ以上の有効性と安全性を示した。引き続き,実臨床での使用実態を反映したいわゆるリアルワールドデータをもとに,DOACとワルファリンの効果と安全性を比較する解析が数多く報告されている。これらの結果の多くは,DOACがワルファリン以上の有効性と安全性を示しているという点において第Ⅲ相試験と“同等”である。一方でハイリスク患者を扱った一部の解析においては第Ⅲ相試験とは異なる知見が得られており興味深いが,その解釈は複雑であり,注意を要する。リアルワールドデータは,単純に第Ⅲ相試験を補完するものと捉えるのではなく,臨床現場の実状を表すとともに数々のバイアスの影響を受けたデータとして,慎重に読み解く必要がある。
「KEY WORDS」心房細動,抗凝固療法,DOAC,第Ⅲ相試験,リアルワールドデータ
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