心房細動治療の目標は洞調律を維持することにあったが,2000年代に相次いで報告された大規模臨床試験(AFFIRMなど)によって,抗不整脈薬による洞調律維持(リズムコントロール)が心拍数調節(レートコントロール)に勝るものではないことが示された。それらの大規模臨床試験からわかったことは,心房細動治療において脳塞栓症の合併をいかに減らすかであった。心房細動といってもさまざまな背景があり,その背景因子によって塞栓症のリスクが異なることから,心房細動患者における脳卒中発症リスクの評価指標であるCHADS2スコアが考案された。シンプルで使いやすいが,患者数の多い0~1点の精度が低く,抗凝固薬の要否をさらに見極めるために2010年にCHA2DS2-VAScスコアが作成された。しかし,低リスク症例でも抗凝固薬を推奨することとなり,過剰投与が懸念された。そこで新しいコホートデータを用いて,年齢と脳卒中に重きをおいたATRIA脳卒中リスクスコアが最近報告され,注目を浴びている。
「KEY WORDS」CHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコア,ATRIA脳卒中リスクスコア,脳梗塞,危険因子(リスクファクター)
「KEY WORDS」CHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコア,ATRIA脳卒中リスクスコア,脳梗塞,危険因子(リスクファクター)