ロコモティブ症候群の1つ,骨粗鬆症,サルコペニアは高齢化社会を迎え,深刻な問題点となっている.英国での研究によると,骨粗鬆症,サルコペニアによる医療経済的損失は癌疾患と同等であり,今後克服すべき問題の重要な位置を占める.予防医学はこれらに対して有効であるが,医療経済的かつ有効な治療法としての明確なエビデンスに乏しいのが現状であろう.骨粗鬆症,サルコペニアは一見独立した疾患と考えられてきた.しかしながらさまざまな疫学研究から両者の相似が報告されている.フィンランドの報告によると,サルコペニアの女性は非サルコペニアの女性と比べて,骨粗鬆症が13倍高く,握力(筋力)の低下群では骨粗鬆症が12倍多いとされる.また,サルコペニアの女性は非サルコペニアの女性と比べて骨折が3倍多く,転倒が2倍多い.この理由として,骨粗鬆症に関連するビタミンD受容体は筋にも存在し,欠乏するとtypeⅡ筋繊維の委縮をもたらし,ビタミンDの低下は,直接的に筋量低下をもたらす.
「Key Words」腰痛(low back pain),多血小板血漿(platelet-rich plasma),腰部脊柱管狭窄(lumbar spinal stenosis),骨癒合(bone fusion)