「Ⅰ はじめに」ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome,以下ロコモ)は,日本整形外科学会により2007年に提唱された概念であり,運動器の障害のために移動機能が低下し,進行すると要介護となる危険が高くなる状態をいう1).平成25年厚生労働省国民生活基礎調査の概況2)をみると,高齢者が要介護になる原因の4位が骨折・転倒で全体の11.8%を占め,5位が関節疾患で10.9%と運動器疾患が続き,4位と5位の頻度を合わせれば1位の脳血管障害18.5%を凌駕する値となっている.このように,運動器の障害が要介護の主な原因となって,高齢者の生活の質(quality of life:QOL)を著しく障害しているのは明らかであり,超高齢社会に突入したわが国においては,高齢者のQOLの維持増進や健康寿命の延伸,医療費の低減のためには,ロコモの予防対策は喫緊の課題である.
「Key Words」変形性膝関節症,変形性腰椎症,疫学,コホート研究,ROADスタディ,LOCOMOスタディ
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