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Theme 新しいがん治療のState of the Art News and Topics【What's New】

進行胃がんに対する術前化学療法の現状と今後の展望と課題

仁科智裕

がん分子標的治療 Vol.20 No.1, 141-143, 2022

日本では,切除可能進行胃がんの標準術式はD2リンパ節郭清(D2郭清)を伴う胃切除であり,欧米よりも手術成績が良好なため,根治切除後の術後補助療法の臨床試験開発が行われてきた。一方でD0/1郭清が中心である欧米では手術成績は不良であり,米国では術前化学放射線療法,欧州では術前・術後の補助療法を行う周術期化学療法を中心に開発が進められてきた。このように,切除可能進行胃がんの標準的な補助療法は地域によって異なっている。
北米ではIntergroup-0116試験の結果1)に基づいて術後化学放射線療法が標準治療となっている。一方,欧州ではMAGIC試験,FNCLCC/FFCD9703試験の結果,手術単独に比較して周術期化学療法としてのエピルビシン+シスプラチン+5-FU(ECF)療法や5FU+シスプラチン療法が全生存期間(OS)の改善をもたらすことが明らかにされ,標準治療となった2)3)。その後,FLOT4試験において周術期のドセタキセル+オキサリプラチン+フルオロウラシル(FLOT)療法が周術期のECF療法よりもOSにおいて優れていることが示され,現在は,FLOT療法による周術期化学療法が欧州の標準治療と認識されている4)
D2郭清を伴う胃がん術式が行われる東アジアではACTS-GC試験5)とCLASSIC試験6)に基づいて術後補助化学療法としてS-1療法またはカペシタビン+オキサリプラチン(CAPOX)療法を行うことが標準治療として行われている。また,日本で行われたJACCRO GC-07試験7)8)および韓国で行われたARTIS2試験9)は,強化された術後補助化学療法レジメンであるドセタキセル+S-1(DS)療法およびS-1+オキサリプラチン(SOX)療法がそれぞれ標準レジメンであるS-1療法よりもOSにおいて優れていることを示し,各国で新たな標準治療として認識されている。現在,東アジアにおいて,術前化学療法のOSのさらなる延長を期待して,術前化学療法の臨床試験が行われているが,有効性を示す結果が出てきておりその重要性が示唆されている10)-13)。今回,東アジアで行われた第Ⅲ相臨床試験の結果をレビューし今後の展望について述べる。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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