Theme 新しいがん治療のState of the Art Cancer biology and new seeds
EGFR-TKIの耐性克服
がん分子標的治療 Vol.20 No.1, 97-101, 2022
EGFR遺伝子変異,ALK融合遺伝子などを有する肺がんにおいて特異的な分子標的薬は高い有効性を示し,特に肺がん診療ではドライバー遺伝子異常に基づいた個別化治療が進んでいる。一方,これらの分子標的薬は一旦奏効するものの,ほぼすべての症例で耐性を獲得してしまうことが臨床的な問題となっている。第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)治療後の約50%でEGFRの2次耐性変異T790Mが出現する。現在EGFR遺伝子変異肺がんにおいては,T790M変異を標的とした第3世代EGFR-TKIのオシメルチニブが標準治療となっている。しかしながら薬剤耐性はほぼ必発し,第1世代EGFR-TKIと比べて耐性メカニズムは多岐にわたっている。本稿では,第3世代EGFR-TKIの耐性メカニズムとその克服を目指した新たな治療開発の取り組みについて概説する。
「KEY WORDS」非小細胞肺がん,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬,オシメルチニブ,耐性メカニズム
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