キメラ抗原受容体発現T細胞(chimeric antigen receptor T-cell;CAR-T)療法は,採取したT細胞に遺伝子改変技術を用いて,腫瘍細胞の表面抗原を認識するキメラ抗原受容体を発現させ,体外で増殖させた後に体内へ戻す細胞治療である。CAR-T療法はさまざまながん種において研究・開発が進められているが,非ホジキンリンパ腫や急性リンパ性白血病などの造血器腫瘍に対するCAR-T療法の進歩は著しい。一方,固形腫瘍に対するCAR-T療法の臨床開発の多くは第Ⅰ相レベルにとどまり,現状,その恩恵は限定的である。ただし,造血器腫瘍に対するCAR-T療法と同様,第3もしくは4世代CAR-Tの開発,免疫チェックポイント阻害薬の併用試験などは,固形腫瘍領域においても並行して開発が進んでおり,今後のブレークスルーが期待されている。
「KEY WORDS」キメラ抗原受容体発現T細胞,固形腫瘍,膠芽腫,消化器がん,Claudin18.2