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Theme 新しいがん治療のState of the Art State of the art reviews and future perspectives

Ⅰ.臓器別 切除不能進行再発大腸がんの分子標的治療の現状と展望

津軽開山﨑健太郎

がん分子標的治療 Vol.20 No.1, 44-48, 2022

大腸がんは,全消化器系がんのなかで最もバイオマーカーに基づく個別化治療が進んでいるがん腫である。遺伝子パネル検査により,大腸がんの主な遺伝子変異と頻度が明らかとなり,個別化治療の臨床導入にともない切除不能例でも全生存期間(OS)は3年を超えることも珍しくない時代となった。現在はRAS/BRAF野生型に対する抗EGFR抗体薬,BRAF V600E変異型に対するBRAF阻害薬+抗EGFR抗体薬±MEK阻害薬,HER2陽性例に対する抗HER2抗体薬併用療法,microsatellite instability(MSI)-Highおよびtumor mutation burden(TMB)-Highに対する免疫チェックポイント阻害薬,NTRK融合遺伝子型に対するTRK阻害薬が分子標的治療として保険承認されている。現在も分子標的治療の開発は積極的に行われており,特に今まで開発が困難であったRAS変異型に対する分子標的治療の有効性が示されるようになった。大腸がんにおける今後の更なる治療選択肢の拡大が期待される。
「KEY WORDS」大腸がん,切除不能,再発,分子標的治療,バイオマーカー

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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