Theme 新しいがん治療のState of the Art State of the art reviews and future perspectives
Ⅰ.臓器別 乳がんの最先端レビューと将来展望
がん分子標的治療 Vol.20 No.1, 22-28, 2022
乳がんに関するレビューと将来展望として,次の3つのポイントを中心に述べる。2000年前後に開発されたintrinsic tumor subtypeの考え方,分類法は予後予測,治療法の設計など乳がん診療のさまざまなところに内包され,乳がんのプレシジョンメディシンの根幹をなしてきた。現在はさらに細分化され綿密な腫瘍生物学的分類が行われるとともに,治療法開発の観点ではsubtypeをある程度横断的にカバーするような取り組みも行われている。2番目には,cyclin-dependent kinase(CDK)4/6阻害薬,immuno-oncology薬,antibody-drug-conjugate(ADC),Poly ADP-ribose polymerase(PARP)阻害薬などの新しい薬物療法の導入である。これらは再発進行乳がんだけでなく,原発乳がんの臨床も大きく変えようとしている。3番目には,precision medicine実現の方策として導入された治療のescalation, de-escalationの考え方,手法である。このアプローチは予防,リスク低減にも取り入れられている。分子アッセイはこの戦略は欠くことのできないものである。これらの事柄について最新知見を踏まえつつ,レビューするとともに将来展望について論じる。
「KEY WORDS」乳がん,腫瘍免疫,抗体-薬物複合体,治療のescalation,治療のde-escalation,分子アッセイ
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。