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Theme 新しいドラッグデリバリーシステムによる抗悪性腫瘍薬 Pharmacogenomics and biomarker

BRAF & KRASG12C阻害薬:なぜ大腸がんに効果が乏しい?

白数洋充山﨑健太郎

がん分子標的治療 Vol.19 No.2, 96-100, 2022

RAS-RAF-MEK-ERKシグナル[mitogenactivated protein kinase(MAPK)シグナル]は,腫瘍の生存,増殖に密接に関わるシグナル伝達系である。現在MAPKシグナルに関与する遺伝子異常として,KRASG12CおよびBRAF V600E遺伝子変異に対する治療開発が進められている。しかしながら,KRASG12C阻害薬やBRAF阻害薬はその有効性に臓器特異性があり,大腸がんにおいては他がん腫と比べ有効性が乏しいことが示唆されている。その背景として,KRASG12C阻害薬に関してはMAPKシグナル経路とは異なる経路が発がんに関与している可能性や,BRAF阻害薬に関しては,BRAF阻害のフィードバックによるMAPK経路の再活性が関与している可能性が指摘されている。現在これらの治療抵抗性を克服するための併用療法の開発が進められている。
「KEY WORDS」KRASG12C阻害薬,BRAF阻害薬,MAPKシグナル,耐性機構

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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