Theme 新しいドラッグデリバリーシステムによる抗悪性腫瘍薬 Pharmacogenomics and biomarker
乳がんに対するPI3K阻害薬
がん分子標的治療 Vol.19 No.2, 91-95, 2022
Phosphoinositide 3-kinase(PI3K)経路は乳がんの腫瘍形成性に強く関わることから,同経路を標的とする薬剤の開発は乳がんを中心に行われてきた。Class Ⅰ PI3Kに広く阻害活性をもつpan-PI3K阻害薬と,class Ⅰのアイソフォーム特異的阻害薬が開発されたが,効果,毒性の面からも後者の優位性が明らかになりつつある。なかでも,PI3K-α特異的阻害薬であるalpelisibはPIK3CA変異を有するホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんに米国食品医薬品局,欧州医薬品庁の承認を受け,日本でも治験が進行中である。さらに,alpelisibや他のPI3K阻害薬はHER2陽性乳がん,トリプルネガティブ乳がんにも開発が進んでいる。
「KEY WORDS」乳がん,PI3K,PIK3CA,Alpelisib
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