ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)は,B細胞受容体(BCR)シグナルの1つであり,B細胞リンパ腫の生存や増殖に重要な役割を果たしている。PI3Kδは主に白血球に発現することから,慢性リンパ性白血病や濾胞性リンパ腫を対象にPI3Kδ阻害薬が開発されている。PI3Kδ阻害薬の有効性は,Bリンパ腫細胞のBCRシグナルを標的とする機序だけでなく,制御性T細胞の抑制に起因する免疫療法としての側面も示唆されている。
「KEY WORDS」PI3Kδ阻害薬,慢性リンパ性白血病,濾胞性リンパ腫,免疫学的有害事象