抗がん剤の開発において,ドラッグデリバリーシステムが研究されており,治療効果を高める,副作用を軽減するなどの利点が考えられる。その1つとして,リポソームのなかに薬剤を内包したリポソーム製剤があり,腫瘍部位に直接薬剤を送達することで副作用を軽減でき,ペグ化することで持続的に効果を発揮するなどの特徴がある。ドキソルビシンのリポソーム製剤であるドキシルが卵巣がんに対して承認され,イリノテカンのリポソーム製剤であるオニバイドが膵がんに対して承認されている。現在も,エリブリンやゲムシタビンなどその他の抗がん剤のリポソーム製剤や,ドキソルビシンと免疫チェックポイント阻害薬との2種類の薬剤をリポソーム製剤としたもの,核酸医薬品のリポソーム製剤などの開発が進められている。
「KEY WORDS」リポソーム,ペグ化,ドキシル,オニバイド,核酸医薬品