Theme 新しいドラッグデリバリーシステムによる抗悪性腫瘍薬 State of the art reviews and future perspectives
乳がん領域の抗体-薬物複合体
がん分子標的治療 Vol.19 No.2, 26-29, 2022
抗体-薬物複合体(antibody-drug conjugates;ADC)はがんに発現する分子を標的とするモノクローナル抗体に細胞障害性をもつ薬剤が結合された薬剤で,腫瘍細胞に選択的に細胞障害性薬剤が運ばれることで,全身への毒性を抑えて高い抗腫瘍効果が期待される。乳がん領域においては抗HER2 ADCであるトラスツズマブ エムタンシンとトラスツズマブ デルクステカンがHER2陽性乳がんの臨床に導入されており,最近,抗TROP2 ADCであるsacituzumab govitecanがトリプルネガティブ乳がんにおいて米国で承認された。本稿ではこれら3つのADCのpivotal試験について解説し,現在乳がん領域で開発されているADCについてもあわせて簡単に紹介した。
「KEY WORDS」乳がん,抗体-薬物複合体,トラスツズマブ エムタンシン,トラスツズマブ デルクステカン,sacituzumab govitecan
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。