抗体-薬物複合体(ADC)は,抗体に毒性の高い低分子化合物を結合させて目的部位に送達させることにより,その効果の増強と副作用の低減をはかる手法である。がん治療のための次世代抗体医薬品として期待されている。本稿においては,その構造,作用機序について概説する。さらに,抗体に結合させるラジオアイソトープも含めた低分子化合物の種類,細胞内酵素による低分子搭載薬物の放出機構,放出低分子化合物の動態の制御を中心に述べる。最後に,均一化ADC作製の優位性,がん免疫との関連による作用機序など,今後の展開についても展望する。
「KEY WORDS」抗体−薬物複合体,安全域,リンカー,がん免疫