これまで,分子標的薬の創薬によって,特定の遺伝子異常があるがん患者に治療効果が還元されてきた。しかし,ヒトのがんで最も多くみられるrat sarcoma virus(RAS)遺伝子異常に対する治療薬はこれまで30年以上創薬が困難であった。近年,第Ⅰ,Ⅱ相臨床試験(CodeBreak100)の結果からKRASG12C変異に対してsotorasib(AMG510)が臨床的効果と安全性があることが示唆され,現在第Ⅲ相無作為比較臨床試験が行われている。本稿ではこれまでのRAS遺伝子異常に対する治療の失敗から,KRAS阻害薬の現状,また今後の治療戦略について述べる。
Theme がんゲノム医療を検証する Learn more from previous clinical trial
<i>KRAS</i> mutationに対する治療戦略の変遷~ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬の失敗からAMG510(sotorasib)まで
掲載誌
がん分子標的・免疫治療(旧:がん分子標的治療)
Vol.19 No.1 120-125,
2021
著者名
鈴木慎一郎
/
林 秀敏
記事体裁
連載
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抄録
疾患領域
癌
診療科目
腫瘍内科
媒体
がん分子標的・免疫治療(旧:がん分子標的治療)
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。