近年,進行・再発非小細胞肺がんのドライバー遺伝子を標的とした分子標的薬が開発され,標準治療の1つとなっている。2012年,新規ドライバー遺伝子としてRET融合遺伝子が発見された1)2)。RETはヒト10番染色体長碗に存在し,RET受容体型チロシンキナーゼをコードする遺伝子である。RET融合遺伝子陽性の肺がんは1~2%の頻度で認められ,RET阻害活性を有するマルチキナーゼ阻害薬であるバンデタニブ,カボザンチニブなどを使用した実験で抗腫瘍効果を示された。RET融合遺伝子陽性の肺がんにおけるRET阻害薬によるprecision medicineが期待され,RET阻害薬の臨床試験が国内外で行われた。また,RETキナーゼに標的を特化したpralsetinibやselpercatinibなどの選択的RET阻害薬が開発され,さまざまな臨床試験において,その効果が検討されるようになった。
Theme がんゲノム医療を検証する Learn more from previous clinical trial
RET阻害薬pralsetinib,selpercatinibの成功とバンデタニブの失敗
掲載誌
がん分子標的・免疫治療(旧:がん分子標的治療)
Vol.19 No.1 116-119,
2021
著者名
髙森信吉
/
瀬戸貴司
記事体裁
連載
/
抄録
疾患領域
癌
診療科目
腫瘍内科
媒体
がん分子標的・免疫治療(旧:がん分子標的治療)
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。