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Theme がんゲノム医療を検証する Pharmacogenomics and biomarker

MET exon 14スキッピング変異

堀尾芳嗣清水淳市藤原豊

がん分子標的治療 Vol.19 No.1, 94-99, 2021

1984年の融合遺伝子の発見から現在に至るまで,MET研究は多くの研究者が関わりながら発展してきた。MET活性化には,リガンドの結合,遺伝子変異,遺伝子増幅や分解抑制などによる受容体の過剰発現や機能亢進,EGFR,IGF-1R,RONなどの他の受容体型チロシンキナーゼを介した活性化などがある。METの活性化変異は,キナーゼドメイン,exon 14に隣接するイントロンのスプライスサイト,細胞外ドメインなど細胞膜内外のさまざまな場所で起こる。MET遺伝子異常のなかで,MET exon 14スキッピング変異は非小細胞肺がんの3~5%を占める正真正銘のドライバー遺伝子異常であり,その診断と治療を理解するには,MET遺伝子を理解し,ゲノム検査からチロシンキナーゼ阻害薬や抗体薬を含む治療薬までの知識が必要である。本稿では引用した文献数を最小限にしているので,あわせて読むことで,今後の肺がん医療について考える契機になれば幸いである。
「KEY WORDS」非小細胞肺がん,MET exon 14スキッピング変異,遺伝子増幅,チロシンキナーゼ阻害薬,抗体薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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