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Theme がんゲノム医療を検証する Round Table Meeting

がん遺伝子パネル検査の出口戦略

南博信西尾和人吉田輝彦中村祐輔

がん分子標的治療 Vol.19 No.1, 65-71, 2021

分子標的薬の開発が進み,がん遺伝子パネル検査の実装化とともに,バイオマーカーに基づく個別化治療が行われている。しかし遺伝子パネル検査で遺伝子異常が検出されても,治療にたどり着く患者は限られている。そのため薬剤の適応拡大を促進する方法が検討され,患者申出療養制度を活用した受け皿試験も行われているが,試験の実施施設が少なく,遠方のため試験を受けることができないなど,治療へのアクセスにはまだ問題があると指摘されている。
また遺伝子パネル検査で遺伝性腫瘍が疑われた場合に,遺伝カウンセリング体制が充実していないことや,その後の検査や治療は保険適用がない場合が多いといった課題もある。
遺伝子パネル検査の実施においても,データ管理やエキスパートパネルの開催,エキスパートパネルのための事前調査,アノテーション作業など,医療機関の負担は大きく,その運用に苦慮している施設は多い。
一方で,血漿検体を用いたがんゲノムプロファイリング(CGP)検査が承認され,組織検体を用いたCGP検査と同様に日常診療への導入が待たれている。
がんゲノム医療が,コンパニオン診断,遺伝子パネル検査から,全ゲノム解析の時代に移行する中で,膨大なデータの解析や解釈に人工知能(AI)を活用することが,エキスパートパネルの質の向上にもつながると考えられている。AI技術を応用したAIホスピタル事業が進み,医療環境の改善にも期待が寄せられている。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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