Theme がんゲノム医療を検証する State of the art reviews and future perspectives
がんゲノム医療 これからの展望~患者申出療養,MASTER KEY ProjectからMASTER KEY Asiaへの展開~
がん分子標的治療 Vol.19 No.1, 59-64, 2021
日本のみならず世界中でがんゲノム検査が標準的に行われるようになるにつれactionableな遺伝子異常に基づいた分子標的薬が推奨薬として候補に多く挙がるようになった。一方で,推奨薬のある患者のうち実際に治療を受けることができるのは約1割程度であるという問題に現在直面している。患者への治療選択肢を増やすため,治験を立案し,それに続く承認薬の増加および適応拡大につなげることが最も重要であるが,その他の手段としては患者申出を起点とした患者申出療養制度を利用して薬剤を患者に届ける方法なども選択肢として挙げられる。前者に関しては,現在MASTER KEY Projectとして,希少がんに対し効率的な薬剤開発ができる仕組みを国立がん研究センターが中心となって行っている。後者に関しては,全国のがんゲノム医療中核拠点病院で患者申出療養制度に基づく特定臨床試験(NCCH1901)が実施している。これらの試みにより今後actionableな遺伝子異常がみつかったより多くの患者に治療を届けることができるようになることが期待されている。
「KEY WORDS」遺伝子パネル検査,actionable mutation,MASTER KEY Project,患者申出療養,MASTER KEY Asia
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。