<< 一覧に戻る

Theme がんゲノム医療を検証する State of the art reviews and future perspectives

希少フラクションに対する薬剤の開発戦略

矢﨑秀米盛勧

がん分子標的治療 Vol.19 No.1, 45-49, 2021

頻度の少ない遺伝子・分子異常を共有する集団を希少フラクションと呼ぶ。次世代シークエンサーなどの普及により,がんの遺伝子異常が明らかになり,希少フラクション化が進んだ。それに伴い,臓器横断的に共通な遺伝子異常を有する集団に対する治療開発(tumor-agnostic drug development)が加速し,2017年以降高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する進行固形がんに対するペムブロリズマブ,NTRK融合遺伝子に対するラロトレクチニブ,エヌトレクチニブが米国食品医薬品局(FDA)により臓器横断的に承認された。一方で,BRAF V600遺伝子変異やHER2増幅に対する標的治療薬の効果は臓器により異なり,その克服が課題である。本稿では,希少フラクションに対する治療開発の現状と課題を,変化する試験デザインや規制,今後の展望も踏まえて解説する。
「KEY WORDS」希少フラクション,臓器横断的治療開発,次世代シークエンサー,マイクロサテライト不安定性,NTRK融合遺伝子

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る