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Theme がんゲノム医療を検証する State of the art reviews and future perspectives

新しい遺伝子スクリーニング~消化器がんにおけるリキッドバイオプシー~

石井貴大中村能章

がん分子標的治療 Vol.19 No.1, 26-34, 2021


遺伝子異常に基づき治療を選択するがんの個別化医療(precision medicine)は世界中で普及してきている。本邦でも2019年から次世代シークエンサー(NGS)を用いた腫瘍組織の遺伝子パネル検査が保険償還され,日常診療で複数のバイオマーカーや遺伝子異常の同時測定が可能になった。しかし,腫瘍組織によるNGS解析の問題点として,解析時間が長いこと,heterogeneityを捉えることや経時的な遺伝子検査が難しいことなどが挙げられてきた。近年,腫瘍組織を用いることなく腫瘍の状態を診断する検査法として,血液や尿などの体液サンプルを用いるリキッドバイオプシーという検査手法が注目されはじめている。
リキッドバイオプシーにおいて現在最も開発が盛んな血液循環腫瘍DNA(ctDNA:アポトーシスやネクローシスによって腫瘍細胞から血中へ放出された腫瘍由来のDNA)の解析は,治癒切除不能の進行再発悪性腫瘍に対する化学療法や分子標的薬の選択,治療効果モニタリング,悪性腫瘍切除後のminimal residual disease(MRD)を用いた再発リスク判定や術後化学療法の選択などにおける有用性が示唆されている。本稿では,消化器がんにおけるctDNA解析について,主にGOZILA/MONSTAR-SCREEN,REMMARY/PURSUIT,CIRCULATE-Japanといった試験をもとに概説する。
「KEY WORDS」血液循環腫瘍DNA,遺伝子プロファイル,消化器がん,リキッドバイオプシー,GOZILA試験

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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