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Theme 固形がんに対する免疫療法と分子標的治療の進歩 State of the art reviews and future perspectives

乳がんの分子標的薬と免疫療法の進歩

谷山智子清水千佳子

がん分子標的治療 Vol.18 No.2, 38-44, 2020

約20年前に日本でトラスツズマブが承認されてから,HER2陽性乳がんの予後は大きく改善した。その後ラパチニブ,ペルツズマブ,トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1),そしてこの2020年5月にはトラスツズマブ デルクステカン(DS-8201a)が国内で使用可能になっており,HER2陽性乳がんの治療の歴史は年々塗り替えられている。また,これまで分子標的薬がなかったとされるtriple negative breast cancerでもHER2陰性生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性乳がんに対して2018年にPARP阻害薬が,さらに翌年にはPD-L1陽性乳がんに対して抗PD-L1抗体が承認された。ホルモン陽性再発・転移性乳がんに対しては,mTOR阻害薬に加え,サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬やPI3K阻害薬などの分子標的薬が次々と開発されており,今後ますます乳がんの術前・術後,再発・転移性がんに対する治療選択肢が広がり,それに従って治療体系が複雑化していくと考えられる。
「KEY WORDS」HER2陽性,triple negative breast cancer,遺伝性乳がん,ホルモン陽性

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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