骨髄異形成症候群(MDS)は後天的な造血幹細胞レベルの遺伝子異常により引き起こされる造血不全症の1つで,白血病移行のリスクにより低リスク群と高リスク群に分けられる。低リスクMDSに対しては血球減少に対する治療が主体となり,造血回復を目指したエリスロポエチン製剤,蛋白同化ステロイド,免疫抑制療法,脱メチル化剤などや支持療法としての輸血療法が用いられる。しかしながら,造血回復を目指した薬剤はいずれも奏効率や生存期間延長効果は十分とはいえず,輸血療法は長期間にわたると鉄過剰症による臓器障害が問題となる。LuspaterceptはTGF-βシグナル阻害という全く新しい作用機序に基づく貧血治療薬で,低リスクMDSに対する第Ⅲ相試験における有効性が最近報告され期待が集まっている。
「KEY WORDS」貧血,骨髄異形成症候群,TGF-β,luspatercept