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Theme 造血器腫瘍の分子標的治療の最前線 Pharmacogenomics and biomarker

腫瘍環境の免疫ゲノム解析技術の進歩

加藤洋人石川俊平

がん分子標的治療 Vol.18 No.1, 87-93, 2020

がん環境の潜在的な抗腫瘍免疫の活性化を狙ったがん治療法に注目が集まるにつれて,腫瘍環境におけるリンパ球の役割や機能についての研究の重要性が高まっている。がん組織に浸潤するリンパ球は,多様ながん抗原に対する獲得免疫の担い手と考えられ,がん免疫療法の直接的なキープレイヤーといえる。そもそもリンパ球はその1つひとつが異なる抗原受容体(T細胞受容体・免疫グロブリン)を発現するヘテロ細胞集団であるが,近年のNGS技術の革新によって腫瘍環境に存在するリンパ球レパトアの全体像を詳細に評価することが可能になり,リンパ球の個性に着目した獲得腫瘍免疫の解析によって,その特性をより正確に深く捉えることができるようになった。本稿では,がん分子標的治療への応用性も含めて新しい免疫ゲノム解析手法の1つである免疫レパトア解析について概括し,ゲノム解析を基盤とした腫瘍免疫研究の展望について紹介したい。
「KEY WORDS」免疫ゲノム解析,免疫レパトア,腫瘍免疫,抗体医薬品,硫酸化グリコサミノグリカン

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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