Theme 造血器腫瘍の分子標的治療の最前線 Cancer biology and new seeds
蛋白質分解誘導剤の開発
がん分子標的治療 Vol.18 No.1, 56-62, 2020
低分子化合物による蛋白質分解誘導(targeted protein degradation)技術は,新たな創薬モダリティとして近年大きな注目を集めている。PROTACs,SNIPERsなどと呼ばれる蛋白質分解誘導剤は,標的蛋白質に結合するリガンド,E3ユビキチンリガーゼに結合するリガンドおよび両者をつなぐリンカーから構成されるBi-functional化合物である。これらの蛋白質分解誘導剤はE3ユビキチンリガーゼにより標的蛋白質のユビキチン化を促進し,さらにプロテアソームによる分解を誘導することで標的蛋白質をノックダウンする。蛋白質分解誘導剤は酵素活性のない蛋白質など,これまで制御が難しいとされていた分子を制御し得る手法として創薬分野における応用が期待される。
「KEY WORDS」蛋白質分解誘導剤,ケミカルノックダウン,ユビキチン,プロテアソーム
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