ヒトのゲノム情報に基づいたゲノム医療は次世代シークエンサー(NGS)の登場により大きく進展し,全ゲノムシークエンスや全エクソンシークエンスも可能になった。固形がんではNGSを用いた網羅的な遺伝子パネル検査が導入され,がんゲノムプロファイリング検査として保険収載されている。白血病や悪性リンパ腫を含む造血器腫瘍においては,早くから細胞遺伝学的な検査,さらに分子遺伝学的な検査が診療に取り入れられ,遺伝子異常に対する分子標的薬の開発が進むとともに,ゲノム情報は診断や治療法の選択,予後予測に役立つこともわかってきた。造血器腫瘍における遺伝子パネル検査の有用性は高いことから,日本血液学会は遺伝子パネル検査の臨床応用を見据え,2018年に「造血器腫瘍ゲノム検査ガイドライン」を作成した。
しかし造血器腫瘍に対する網羅的な遺伝子パネル検査を導入するにあたっては,実施施設の選定やエキスパートパネルのあり方,検査にかかる時間をいかに短縮するかといった課題もみえてきた。また,NGSを用いた網羅的な遺伝子解析が進むなかで,生殖細胞系列(germline)の遺伝子異常は従来考えられてきたよりも高頻度に検出されることがわかっており,一方で実際に病気に至る割合(浸透率)は明らかでないことから,検出された場合の対応が喫緊の課題となっている。
しかし造血器腫瘍に対する網羅的な遺伝子パネル検査を導入するにあたっては,実施施設の選定やエキスパートパネルのあり方,検査にかかる時間をいかに短縮するかといった課題もみえてきた。また,NGSを用いた網羅的な遺伝子解析が進むなかで,生殖細胞系列(germline)の遺伝子異常は従来考えられてきたよりも高頻度に検出されることがわかっており,一方で実際に病気に至る割合(浸透率)は明らかでないことから,検出された場合の対応が喫緊の課題となっている。