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大腸がん治療における網羅的DNAメチル化解析の意義

大内康太

がん分子標的治療 Vol.17 No.2, 89-93, 2019

DNAメチル化は,DNA methyltransferase(DNMT)による5’-シトシンへのメチル基の付加によって引き起こされ,CGジヌクレオチド配列(CpG)に作用する。
DNAメチル化が関連する大腸がんの重要な発がん機構としてCpG island methylator phenotype(CIMP)が挙げられ,全大腸がんのおよそ20%に関わるとされる1)。1999年にToyotaらは,正常大腸粘膜ではメチル化を認めず,腫瘍組織特異的にメチル化を認めるゲノム上の領域を特定した2)。CIMP陽性大腸がんは,その領域において高頻度にメチル化を認める大腸がんと定義された。腫瘍組織におけるDNAメチル化は,主に遺伝子のプロモーター領域のCpGアイランドに生じ,転写を負に抑制することで遺伝子の機能を失活させると考えられている3)。CIMPは一般的に,CIMPマーカーとして抽出された遺伝子セットに一定以上の割合でメチル化を認めた場合にCIMP陽性と判定され,これまで多くのCIMPマーカーに関する報告がなされている。しかし,CIMP陽性大腸がんと陰性大腸がんを分類するためのゴールドスタンダードとなるマーカーセットが確立されていない点が課題である(表1)1)2)4)-8)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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