Pharmacogenomics and biomarker
腸内細菌叢と免疫チェックポイント阻害薬
がん分子標的治療 Vol.17 No.2, 76-79, 2019
分子生物学的技術の革新的進歩が遺伝子解析を飛躍的に発展させ,次世代シーケンサーにより,腸内細菌の研究は新たなステージを迎えている。腸内細菌は脳神経疾患,内分泌代謝疾患,炎症性腸疾患など各種疾患の発症に強く関与していることがわかってきた。最近,がん免疫療法についても,その臨床効果に腸内細菌が強く関与しているとの報告が数多く出てきている。まず,マウスでの研究報告があり,実際にがん患者でも免疫チェックポイント阻害薬の臨床効果に強く関係しているとの報告があった。しかし,それぞれの研究によって臨床効果や抗腫瘍効果に関与している細菌種が同一ではないこともわかってきた。このことは,腸内細菌叢の作用機序の研究において大変興味深いことである。われわれも腸内細菌とがん免疫療法の関係,さらに疾患との関係を解明すべく「昭和大学Uバンク」を立ち上げ共同研究を進めている。本稿では,がん免疫療法の中心薬剤である免疫チェックポイント阻害薬と腸内細菌の関係について最新の知見を論じる。
「KEY WORDS」がん免疫療法,免疫チェックポイント阻害薬,腸内細菌叢
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