Theme 新しい抗体薬;ADC
ADCの臨床開発の特徴
がん分子標的治療 Vol.17 No.2, 16-19, 2019
抗体医薬の開発初期段階より抗体−薬物複合医薬(ADC)の着想は提唱されており,近年の科学技術の発展に伴い上市されるに至った。開発当初に期待されたほどには治療域の拡大と毒性の管理は容易でなく,ADCを構成する抗体,リンカー,ペイロードのそれぞれで改良が試みられている。抗体部分の改良点として,より腫瘍特異的な抗原の探索やエピトープの検証が進められている。リンカー部分の工夫により,薬物抗体比が改良されたtrastuzumab deruxtecan(DS-8201a)の開発など一定の成功を収めている。ペイロードの選定と改良には今後も検討の余地がある。毒性克服の試みの代表的な観点は投与スケジュールの変更である。ゲムツズマブオゾガマイシンは米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認取り下げ後に,投与スケジュールの変更などにより再承認の取得に至っている。併用療法による有効性向上の試みは数多く実施されているが,その多くは免疫チェックポイント阻害薬との併用療法である。その有効性はいまだ十分に確立されておらず,今後の検証が待たれる。
「KEY WORDS」抗体−薬物複合体,ペイロード,リンカー,抗体,併用療法
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。