Theme 新しい抗体薬;ADC
ADCの基礎
がん分子標的治療 Vol.17 No.2, 6-10, 2019
モノクローナル抗体に殺細胞活性を有する薬物を結合させた抗体−薬物複合体(ADC)は,選択的かつ効果的にがん細胞を死滅させることで,既存の化学療法薬と比較して広い治療域が期待される次世代抗体医薬品である。2019年7月現在,5品目(ブレンツキシマブ ベドチン:抗CD30 ADC,トラスツズマブ エムタンシン:抗HER2 ADC,ゲムツズマブオゾガマイシン:抗CD33 ADC,イノツズマブ オゾガマイシン:抗CD22 ADC,polatuzumab vedotin:抗CD79b ADC)がFDAで承認され,次世代抗体の1カテゴリーとして注目度が高まっている。一方で,これら先行するADCの知見からADC技術の改善点も明らかとなってきており,より強力な治療効果を示す次世代型ADCの創製が期待されている。本稿では,上市品を含むこれまでのADC研究の流れおよびADCに必要とされる構成要素について触れ,次世代型ADC創出に向けた現在の動向についても紹介する。
「KEY WORDS」抗体−薬物複合体(ADC),結合薬物,リンカー,次世代型ADC
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