造血器腫瘍は,その生物学的,臨床的特徴が固形腫瘍とは大きく異なるが,これを反映するように,造血器腫瘍の遺伝子異常プロファイルは固形腫瘍のそれと大きく異なる。腫瘍のドライバー変異となるsomatic変異の臨床的意義も固形腫瘍とは大きく異なり,主に予後の推定や診断分類に重要な役割を果たしている。また造血器腫瘍は大きく,骨髄系,リンパ系腫瘍に分かれるが,どちらかに特異的に認められるsomatic変異がある一方,両者に共通して起こるsomatic変異もあり,これらの腫瘍発生への寄与の解明が進んでいる。特に骨髄系腫瘍では,若年発症の白血病や家族性骨髄性腫瘍などの病的原因となりうるgermline変異もみつかっており,遺伝カウンセリングをはじめとした対処が必要となってくる。本稿ではこれら造血器腫瘍のgermline/somatic変異について特に臨床医にとって重要な情報を紹介する。
「KEY WORDS」造血器腫瘍,germline変異,somatic変異
「KEY WORDS」造血器腫瘍,germline変異,somatic変異