Cancer biology and new seeds
Claudin
がん分子標的治療 Vol.16 No.4, 68-72, 2019
Claudin(クローディン,CLDN)は,細胞間結合様式の1つであるタイトジャンクションの形成に関与する主要な膜蛋白質である。細胞間接着構造の形成を担っており,24種類ものアイソフォームが同定されている。CLDNの発現レベルはさまざまながんにおいて異なることが報告されているが,CLDNの発現異常は機能低下を伴いタイトジャンクションの脆弱化と関連し,がんの浸潤や転移に関与することが示唆されている。
CLDNファミリーの1つであるCLDN18.2は,正常組織では胃粘膜にきわめて特異的に発現している一方で,多くのがん種で異所性に発現している。また,CLDNは細胞膜の外側に局在しモノクローナル抗体が結合可能な構造をしている。これらの特性からCLDN18.2を標的としたモノクローナル抗体薬であるIMAB362が近年開発された。
胃がんにおいて,第Ⅱ相臨床試験でIMAB362の有効性が示されており,IMAB362と化学療法の併用効果を検討する第Ⅲ相臨床試験が進行中である。IMAB362は胃がんのみならず多くのがん種で効果が期待できる有望な新規薬剤であり,今後の臨床試験の結果が待たれる。
「KEY WORDS」Claudin,Claudin18.2,IMAB362,zolbetuximab,胃がん
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