Theme 分子標的薬の最適な治療シーケンス
腎細胞がん
がん分子標的治療 Vol.16 No.4, 52-55, 2019
日本では転移・再発腎細胞がんに使用可能な薬剤は8剤存在するが,最適な順次投与を検討した前向き臨床試験はほとんど存在せず,また質の高い後ろ向き研究結果も存在しない。また,すべての薬剤において確立した効果予測因子は存在しない。そのようななか,日本および欧米のガイドラインでは患者をMSKCCまたはIMDCリスク分類で分類し,それぞれの治療ラインで推奨される薬剤が記載されている。しかしながら,臨床試験や後ろ向き観察研究の結果からは転移・再発腎細胞がんにおいては後治療が施行される割合はそれほど高くなく(約50%),いかによりfront lineで効果が期待できる薬剤を使用するかが大切である。その観点から,intermediateまたはpoor riskの淡明細胞型腎細胞がんにおいてはニボルマブ/イピリムマブ併用療法を1次治療として使用することが強く推奨される。そして2次治療以降においては,より患者報告アウトカム(PRO)や毒性,患者の嗜好といった視点で薬剤選択をすることが好ましいと考える。
「KEY WORDS」淡明細胞がん,TKI,PD-1,PD-L1,順次投与
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。