Theme 分子標的薬の最適な治療シーケンス
多発性骨髄腫(multiple myeloma)
がん分子標的治療 Vol.16 No.4, 45-51, 2019
多発性骨髄腫の治療成績は,多くの新薬により,この10年で劇的に改善した。現在,承認された新薬は免疫調節薬(サリドマイド,レナリドミド,ポマリドミド),プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ,カルフィルゾミブ,イキサゾミブ),ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬(パノビノスタット),抗腫瘍抗体薬(エロツズマブ,ダラツムマブ)の9剤に及ぶ。初回導入療法では,デキサメタゾンにレナリドミド,ボルテゾミブ,アルキル化薬などを加えた2~3剤レジメンを行い,適応例では自家移植を行う。再発・再燃時には多くの治療選択肢があるが,治療選択に決定的なバイオマーカーはないため,臨床試験結果のほか,患者個々の治療歴,再発様式,治療目標などをふまえ,効果が期待できる新薬レジメンを行う。多発性骨髄腫患者の多くは再発・再燃を繰り返すため,最適治療シーケンスは重要な課題である。本稿では,初回および再発・再燃治療における新薬の治療選択について述べる。
「KEY WORDS」多発性骨髄腫,治療シーケンス,免疫調節薬,プロテアソーム阻害薬,抗体薬
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