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Theme 分子標的薬の最適な治療シーケンス

乳がん

喜多昭介下村昭彦

がん分子標的治療 Vol.16 No.4, 39-44, 2019

乳がんにおける分子標的治療は当初ホルモン療法,抗ヒト上皮成長因子受容体(HER)2療法を中心に開発されてきた。抗HER2療法では最初に開発されたトラスツズマブに加えて,ペルツズマブやトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)が有効な薬剤として治療選択肢に加わっている。近年,新しい分子標的薬の有効性が報告されており,ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんにおいてはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬のホルモン療法への上乗せ効果が認められており,パルボシクリブ,ribociclib,アベマシクリブの3剤がこれまでの大規模比較試験で有効性が示されている。また,HER2陰性BRCA変異陽性乳がんに対してはオラパリブをはじめとするPARP阻害薬の有効性も示されている。PI3K-AKT-mTOR経路などの標的分子に対する治療薬開発も進んでいる。バイオマーカーとして血中循環腫瘍DNA(ctDNA)や腫瘍内のmRNAを測定することによって分子標的薬の奏効の予測因子を探索する研究が行われており,臨床応用が期待されている。
「KEY WORDS」乳がん,HER2,CDK4/6,BRCA

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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