Theme 分子標的薬の最適な治療シーケンス
非小細胞肺がん 進行期非小細胞肺がんに対する殺細胞性抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の治療シーケンス
がん分子標的治療 Vol.16 No.4, 21-26, 2019
2015年以降,切除不能進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)に対して免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が使用されるようになり,NSCLCの治療体系に変化をもたらした。ICIの適応判断や効果予測において,免疫組織化学染色法を用いた腫瘍細胞のPD-L1発現は重要なバイオマーカーである。しかし,PD-L1高発現例においてもICI単剤療法で十分な腫瘍縮小が得られないことがあり,殺細胞性抗がん剤が担う役割はいまだに大きい。そのため,ICIと殺細胞性抗がん剤はいずれもNSCLCにおけるキードラッグであることを念頭に置いた適切な薬剤選択と治療シーケンスが重要である。今後,ICIと殺細胞性抗がん剤の併用療法が承認される見込みであり,PD-L1高発現例に対して併用療法を行うか,ICI単剤療法を行うかの選択をする必要がある。さらに,腫瘍遺伝子変異量(TMB)をバイオマーカーとした臨床試験も進行中であり,NSCLCの治療体系はさらに複雑化することが予想される。
「KEY WORDS」非小細胞肺がん,PD-L1,殺細胞性抗がん剤,免疫チェックポイント阻害薬
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。