Pharmacogenomics and biomarker
蛍光ナノ粒子を用いたがん組織の高感度定量イメージング
がん分子標的治療 Vol.16 No.3, 59-64, 2018
蛋白質を標的としたがん分子標的薬の薬効予測診断では,標的蛋白質の発現量を調べるために免疫組織化学(IHC)法が施行される。この方法では,抗原抗体反応が行われ,続いて酵素反応を利用した色素発色により蛋白質発現量が評価される。しかし,色素の発色強度は,酵素反応の時間,温度,基質量に左右され,定量性に課題があった。そのため,がん分子標的薬の薬効を精度よく診断するうえで十分とはいえなかった。筆者らはこの課題を解決すべく,蛍光ナノ粒子を検出プローブに用いた新たな方法(1粒子蛍光イメージング)の開発を行ってきた。本稿では,使用する蛍光ナノ粒子や画像解析法を改良しつつ,乳がんの術前薬物療法の薬効を予測することに成功した1粒子蛍光イメージングの開発プロセスについて概説する。1粒子蛍光イメージングは,既存のIHC法よりも感度および精度が格段に向上しており,プレシジョン・メディシンへの貢献が期待される。
「KEY WORDS」がん,薬効,診断,免疫組織化学,ナノ粒子,定量性
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