Round Table Meeting
非小細胞肺がんに対する薬物療法の治療シーケンス:何が重要で,何が問題か?
がん分子標的治療 Vol.16 No.3, 46-52, 2018
非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において,ドライバー変異のある症例には分子標的薬,PD-L1発現割合が50%以上の症例には免疫チェックポイント阻害薬(ICI)のペムブロリズマブが投与される。分子標的薬,ペムブロリズマブの投与後は細胞傷害性抗がん剤の投与が勧められている。
ALKチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)はさまざまな耐性機序があり,それによって薬剤の感受性が異なることから,複数のALK-TKIをシーケンスで使うことが考えられる。一方,上皮成長因子受容体(EGFR)-TKIは,T790M変異に対するオシメルチニブ以外は遺伝子変異を標的にしたTKI-TKI投与の有効性を示すデータはない。ところがEGFR-TKIの観察研究において,リアルワールドではEGFR-TKIがシーケンスで使用されている現状が明らかになっている。
ドライバー変異がないNSCLCにはICIと化学療法の併用が有望視されているが,毒性に関しては注意が必要である。
分子標的薬やICIが使われている現時点でも,治療シーケンスにおいては細胞傷害性抗がん剤が重要な役割を果たしている。今後,次世代シーケンサー(NGS)により新たな標的による治療薬の開発,薬剤の使い分けが進むことが期待されるが,これまでのような大きな変化は起こらないと予想されるなかで,現在ある薬剤をどのように使うかを熟考する必要がある。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。