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臨床研究法について
がん分子標的治療 Vol.16 No.2, 112-115, 2018
臨床研究法は4つの骨子からなる。①法律に基づく当局による実施・指導体制,調査権限・監視指導,②研究責任医師に対しモニタリングや利益相反管理に関する実施基準の遵守,記録の保存などを義務づけ,③厚生労働大臣の認定を受けた臨床研究審査委員会による実施計画や有害事象対応の審査,④医薬品等製造販売業者に対し臨床研究に関する資金提供について契約の締結や公表を義務づけである1)。
高血圧症治療薬の臨床研究で起きたデータの操作・利益相反行為という不正事案は,日本の臨床研究の脆弱性を顕在化させ,強制力のない研究倫理指針による臨床研究のガバナンスが限界に来たことを示した。しかし,一定の法的規制を導入するうえで最も重要なことは,臨床研究を推進することとのバランスである。新たな治療法や患者1人ひとりに最適な治療法を提供するためには,臨床研究の実施を萎縮させてはならない。
新たな法規制は,被験者に対するリスクと社会的リスクの双方を勘案した範囲に絞って,最低限のルールを定め,臨床研究の手続きの明確化と質の充実を図った。以下,2018年4月1日から施行された臨床研究法の概要を行動主体ごとに紹介する2)。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。