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News and Topics

変異特異的に作用する新たなEGFR-TKIの効果

森俊太野上尚之

がん分子標的治療 Vol.16 No.2, 109-111, 2018

非小細胞肺がん(non-small-cell lung cancer;NSCLC)では,上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異,ALK遺伝子転座,ROS1遺伝子転座,BRAF遺伝子変異などドライバー遺伝子変異の検索・同定を行い,それぞれの遺伝子に対する適切なチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を投与することが日本肺癌学会による『肺癌診療ガイドライン 2017年版 Ⅳ期非小細胞肺癌薬物療法』においても推奨されている。
第1・2世代EGFR-TKI(ゲフィチニブ,エルロチニブ,アファチニブ)に加え,日本では2016年3月に第3世代EGFR-TKI(オシメルチニブ)が承認され,日常臨床で使用されている。第1・2世代EGFR-TKIによる治療では,多くの場合,治療開始から1年~1年半で耐性が生じ,病勢が進行する。耐性機序に関してはMETや肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)の過剰発現,小細胞肺がんへの形質転化などさまざまな機序が報告されているが,耐性獲得例の約50~60%でT790M変異が起こるとされている1)。オシメルチニブは活性型EGFR遺伝子変異と耐性遺伝子変異であるT790M変異の両方を阻害するEGFR-TKIであり,AURA3試験2)では1次治療のEGFR-TKIによる治療後に病勢進行(PD)となり,その後耐性遺伝子変異であるT790M変異陽性と判明したNSCLC患者を対象としてオシメルチニブ群と細胞障害性抗がん剤群(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)を比較し,オシメルチニブ群の無増悪生存期間(PFS)中央値が有意に延長した(10.1ヵ月 vs. 4.4ヵ月,ハザード比(HR)0.30,95%信頼区間(CI):0.23~0.41,p<0.001)。これをふまえ,現在,1次治療EGFR-TKI耐性・増悪後にT790M変異陽性となった症例にはオシメルチニブが推奨されている。
さらに,FLAURA試験3)ではEGFR遺伝子変異陽性(exon19欠失変異またはL858R変異)で未治療の進行NSCLC患者を対象としてオシメルチニブ群と標準治療群(ゲフィチニブまたはエルロチニブ)を比較し,オシメルチニブ群のPFS中央値が有意に延長した。この結果から,オシメルチニブはT790M変異陽性例だけでなく,EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの初回治療としての有用性が証明された。
本稿では,EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの位置づけと今後の可能性について概説する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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