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DNAミスマッチ修復欠損またはMSI-highと免疫チェックポイント阻害薬効果の相関

砂川優

がん分子標的治療 Vol.16 No.2, 94-97, 2018

マイクロサテライトはゲノム上に満遍なく散在する短い繰り返し配列であり,DNA複製や修復の際にエラーが生じ,その反復回数が複数の箇所で変化してしまう状態がマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability;MSI)である。MSIは各悪性腫瘍でさまざまな頻度で認められるが1),大腸がんがもつ特徴の1つとしてこれまで多くの研究が行われており,DNAミスマッチ修復機能に関連する遺伝子であるMLH1の機能低下やMSH2MSH6の変異と強く関わりがあることがすでに明らかになっている2)
MSI-highすなわちミスマッチ修復機構の欠損(deficient mismatch repair;dMMR)を有する大腸がんは免疫原性が高く,高度の腫瘍内リンパ球浸潤を伴い,CD8陽性細胞傷害性Tリンパ球が多くみられ,免疫チェックポイント分子の発現が強いため3),免疫チェックポイント阻害薬の有効性が期待されていた。MSI-highの早期大腸がんではフルオロウラシル(5-FU)による術後補助化学療法の効果が乏しいことが報告されている4)。イリノテカンを含んだレジメンもMSI-high大腸がんstage Ⅲの術後補助化学療法として有効ではないという報告がある一方で,MSI-highがイリノテカンによる術後補助化学療法の効果を予測できるマーカーになりうるという報告もある5)6)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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