Cancer biology and new seeds
腫瘍免疫関連分子B7-H3による抗PD-1/PD-L1抗体治療への抵抗性
がん分子標的治療 Vol.16 No.2, 69-73, 2018
B7-H3はB7-familyに属する免疫関連分子で,腫瘍細胞で特異的に高発現している。筆者らの検討により,B7-H3は非小細胞肺がんのおよそ75%で発現を認め,さらにB7-H3陽性例では抗PD-1抗体治療に抵抗性であることを見出した。また,B7-H3陰性例では腫瘍組織にCD8陽性リンパ球の豊富な浸潤を認めた。同種腫瘍細胞移植マウスモデル試験の結果,抗体によるB7-H3の阻害は,腫瘍細胞にCD8陽性リンパ球の浸潤をもたらした。さらに,抗B7-H3抗体と抗PD-L1抗体の併用は強力な腫瘍増大抑制効果を示した。以上の結果,非小細胞肺がんにおいて腫瘍細胞のB7-H3発現は抗PD-1/PD-L1抗体治療への抵抗性をもたらすことが示唆される。本稿では,現在進行中のB7-H3を標的とした治療開発についても紹介する。
「KEY WORDS」非小細胞肺がん,B7-H3,PD-1,PD-L1
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。